Gospel of beginning #2

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近所の小さな動物病院で扱えるのは、大抵が犬猫などの、コンパニオンアニマルばかり。 鳥すらまともに診られない病院が、ほとんどだ。 ヨウムを抱えて途方に暮れる私の頭に、真っ先に浮かんできたのが、エキゾチックアニマルのエキスパート・高田女史の、この柔和な笑顔だった。 モニターのレントゲン画像を眺めながら、ちょっぴり懐かしい大学生活を振り返っていると、コンコンとドアのノック音が響いた。 来訪者の姿を確認してすぐ、高田女史がニヤリと意味深な笑みを、こちらへ向けてくる。 「ほら、大学中退のシンデレラ姫。 理学部の王子様を呼んでおいたわよ。 変身のとけたネズミくんは、魔女が預かっておくから、王子様の馬車でお帰りなさい」
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