Gospel of beginning #2

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妙に芝居がかった口上で開かれたドアの向こうには、愛しの旦那様の姿があった。 久しぶりに目にする白衣姿に、胸がキュンと鳴る。 しかし独身アラフォー高田女史の手前、抱きつくわけにもいかない。 衝動を懸命に抑え、ヨウムの件をよしなにお願いしてから、私達は准教授室を後にした。 「……ふふっ。びっくりしたよ」 歩き始めてしばらくすると、碧さんが小さな笑いを漏らした。 「内線で、『氷室花純が怪我して、患畜として運ばれてきた!』なんて言うから、高田准教授」 「患畜なんて、ひどい! そんな事言われたんだ、碧さん。 もしかして信じたの?」 「まさか。 『僕の妻の翼膜でも破れましたか? それとも尾椎が折れましたか?』って訊き返したよ」
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