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鈍い痛みに引きずられるように、後回しになっていた記憶が、じわりと蘇ってくる。
『ミドリ……碧、愛シテル。
ミドリ……!』
ヨウムが発した言葉。
いくら人語を真似るのが得意なヨウムでも、一度や二度耳にした程度では、憶えられるはずがない。
誰かが温室で繰り返し囁いたのだろう。
『碧、愛してる。碧、愛してる……』と。
胸に秘めた想いを、鳥達にこぼしていたのかもしれない。
碧さん本人に直接伝えていた可能性だって、充分にあり得る。
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