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顔を合わせれば、会釈程度は交わすものの、いつも忙しそうにしているため、なかなか話し掛けるタイミングが掴めなかった。
今が絶好のチャンスだ。
交流して、少しでも仲良くなろう。
「あ……の、ウノさん。
ウノさんの下のお名前って、何ですか?」
質問が唐突過ぎたのだろうか。
眼帯を着けていない方の目が、パチパチと何度も瞬いた。
そして唇がむずむずっとしたように見えた次の瞬間、口元を押さえて、クスクスと笑いの空気を漏らす。
怖い人だとばかり思っていたけれど、意外や意外、無邪気な笑顔は少年のようで、何だか可愛らしい。
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