1588人が本棚に入れています
本棚に追加
Gナンバーの人間が、公的組織の前に現れることはない。
常に闇の存在として暗殺を繰り返すためには、名が知れたとしても表に出れないのだ。
だからこそ、要が捕まったときも観察に徹し、隙がないか見ていた。
倉原に会うなどもっての他。
確かに生きていたら会わなかった。
要が死んだから会えたんだ。
「…要…俺が倉原を殺そうとするって…知ってたのか…?」
「ええ。あなたはそうやって彼女に近付くと思ってました。
だけど、彼女は私の思惑に気付き、あなたの存在を受け入れ救うだろうと計算していました。
そして、あなたが彼女を殺さないことも。殺されそうになったときは、あの三人が守ってくれるだろうと。」
「…そこまで…計算してたのか…」
「あなたが殺されることも、倉原さんが殺されることも嫌だったんです。
概。私は新しい世界を倉原さんに習い、幸せに生きて欲しかったんです。
ずっと辛い生活でしたから。それを強いていたのも私でしたから。…私なりの懺悔でした。」
「…ッッ!……バカヤロー!」
「…概。すみません。」
「お前がいなければ意味がない!」
「いいえ。あなたの心は私では癒せませんでした。倉原さんがいたから癒せたんです。
…自分自身でもお分かりでしょう?」
…否定したいが否定できない。
あれほど安らいだのも、笑顔になれたのも、落ち着いて眠れたのも、
…倉原心が俺と一緒にいてくれたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!