治まらない動悸

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真芝が入隊して警視庁に戻すことは考えていなかった。 つまり、現在のPSP本部は37名の隊員で構成される。 (…長官?…いや、長官は隊員ではない…) 復帰した野崎長官は、その独立した立場が確立しているために隊員とは認められていない。 だとしたら、彼女の言ったもう一人の隊員とは誰のことだ? (…ヤベェ…全く分からねぇ…) 仮に長官を入れるとして、そこまで悩むことではない。それに、即答して"ある"と言ったあとの言葉だ。 ビーーーー!!ビーーーー!! 《緊急指令!!緊急指令!!》 「チッ!こんなときに! こちら大崎。田辺・橋本両主任は待機。大崎班出動せよ。A班倉原、南。先に行け。」 『倉原、南、了解。』 とにかく時間稼ぎをしなければ。 俺の勘が警笛を鳴らす。 "それがキーワードになる"と。 指令先は空港。 ハイジャックに失敗した犯人が、乗員乗客を人質に飛行機内に立て籠っているとの通報。 (こういうときに組織絡みじゃねぇんだよな…) 自分たちの目的外だとしても、PSPは警察なのだ。事件が起き要請があれば行かなければならない。 『心さん!マジで行く気ですか!』 『え。うん。何で?』 『高すぎじゃないですか!』 『ああ、揺れる?じゃ、私が先に降りてロープ持っておくから。直ぐに降りてきてね。』 …ん?何の会話だ? ヘリの爆音に混じって聞こえたA班の二人の声に反応し、耳を済ませる。 『こちら倉原。飛行機の100m上空より降下し、屋根を伝って尾翼貨物室より潜入します。』 「………は!?心!!ちょっと待て!!」 『ギャハハハハ!慌ててる!焦ってる!』 不快なバカウケはスルー。 「高度が高すぎる!地上からの潜入を命令」 『隊長!地上は無理です!警官が数人撃たれています!』 『そーゆーこと。ヘリの音が聞こえない距離からのアプローチ。ってことで行ってきまーす。 …降下開始!…うひょおおおおお……!』 「…この……じゃじゃ馬がぁああ!!!」 『『躊躇なし!蒼依シカト!ギャハハハ!』』
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