治まらない動悸

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「あ、おっかえりー!」 「たっだいまー!」 「お帰り蒼依。心。お疲れさん。」 「ただいまー。」 PSPに戻ると、他の指令はなかったようで、二人揃って出迎えられた。 すると、成が心の肩を抱き、内緒話するように耳を寄せる。 その逆の手の親指で弾かれたものが俺に飛んできて、それをキャッチする。 陸は二人に目を向けながら、腕を組んだその手で隊長室へ指を差す。 「…じゃ、俺は隊長室で報告書書いてくる。お前も早く提出しろよ?心。」 「ラジャーー!その前にやること出来た!」 「何だよ?」 「「内緒ーー!」」 初めから仲の良かった成と心は、どこか自然に二人の世界へ落ちる。 興味あるもの、好きなもの、嫌いなもの、大体同じ感覚らしく、心を引き付ける役はこうして成に任せた方が時間稼ぎになるのだ。 それだと理解すると、直ぐに隊長室に行き、成に渡されたデータをPCに繋ぐと、タイミングよく陸が入室する。 「……それで?」 「とりあえず見てみろよ。ちょっとゾクッとするぞ。」 「……なんだこれは。」 「成は倉原龍一と皆川が初めて接触した26年前まで遡って調べた。」 「…つまりこれは、レッドドラゴン時のデータか。」 「ああ。…そして、皆川が14歳になったとき、一連の犯罪が激化していると。」 「激化?…と言うには足りない気がするが?」 「俺もよく分からないが、成がそう言うんだ。それでlevel4を開き、世界中のデータを収集した。」 「…結果は。」 「ビンゴ。それで的を絞った。ファイル9を開いてみろ。」 「……子供の死亡率が上がってる?どういうことだ?何の関係が?」 「成が酷く臭うなって呟いた。そして二人で仮定した。 …この子供たちは、裏組織に買われて殺されたのではないか。 殺す理由、それは恐らくデスゲーム。」 「生き残りをかけたサバイバルか。」 「正解。」
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