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「G9ね。level6には?」
「一切のデータがない。どこの誰でどういうことをする奴か、あらゆる情報を集めたけど出てこなかった。」
「なるほど。level6でそれなら、俺らは完全にお手上げ状態だね。
そんで?心はどう思ったわけ?」
「皆川がPSPを翻弄するための策。
何らかの皆川からのメッセージ。
機に乗じた新設組織のトップ。
いろんなことを考えたけど、どれも当てはまらない。
結局聞き出す前に皆川は死んだ。」
「…大した情報もないし、皆川もそれ以降のミスはない。G9なる野郎がいるとして、警戒してたが動きもないってことか。」
「恐らく皆川のミスはミスではなく、何らかの意図があったからこそ、たった一度傍受させたと思う方が賢明だと俺は思うけど。」
「成の言う通りだよ、陸。多分G9の存在を私に伝えたかったと考える方が無難よ。」
「…心を殺すため?…それとも…」
「「警告だよ。」」
彼女と成が口を揃えて言い切った。
そうだろう。
皆川は彼女を殺すことは出来なかった。
逮捕前には、奴の思いが揺れていたと考える方が無難だろう。…生きるか死ぬかで揺れていた。
仮に皆川が死んだと自身で想定して、脅威となる奴がいることを皆川が彼女に注意を促していたとしたら?
…紛れもなく、彼女への愛ゆえだ。
それぞれが黙って考え始めたリビング。
そこで初めて口を開いた。
「…38人のPSPとはどういうことだ?心。」
「……ああ、それ。」
俺の言葉に反応した彼女は、自分の部屋に向かうと便箋を持って戻ってきた。
…皆川の思いのこもった便箋。
「…このページ、一人多いんだ。」
そう言って見せられたものは、心を中心に描かれたPSP本部のメンバー。
集合写真のようなそれは、彼女と彼女の笑顔を作る仲間を大事に守りたいという皆川最後の願い。
指を指された場所にある38人目。
人に被るようにひっそりと。髪の毛だけ描かれた38人目。
「……これ、G9じゃないのかな?」
そして、数歩先の思考の持ち主は、意表を突く発言をする。
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