"雨の後は上天気"編_漆

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"雨の後は上天気"編_漆

  後楽会の前の週末、 和服が仕上がり、鏡から試着をして欲しい、と休日に呼び出された。 久しぶりに入る鏡の部屋はあれから何も変わってなかった。 センスの良い部屋に不似合いな、もう必要のない補助棒も あちこちについたままで、少し申し訳ない気持ちになる。 見せてもらった和服は若葉色の附け下げで、花丸文が描かれていた。   和服を手にした私は恐縮する。 「・・・・こんな高いもの、私には宝の持ち腐れです・・・」 鏡は微笑む。 「良いものを持っていれば、イザという時に役に立つ。」
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