抹茶ミルクは恋の味

12/13
403人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
「トノ、あの、さ……」 おーちゃんが好きだと確信して数日後、寮への帰り道にトノに話をした。 「なーにー?」 俺の顔を覗き込むように見上げてくるその横で、俺はゆっくりと息を吐き出した。 「俺ね、…気になる人、いるんだ。」 「おー!?誰?俺知ってる?」 驚いたように、でも興味津々なトノに少し心が軽くなる。 トノには偏見なんてものはないのはわかってるんだ。 だけど、少し怖い。 少し、不安。 だから顔を見ることは出来なくて、不意に視線を逸らしてしまった。。 「……あの、せんせ……なんだけど」 「白衣の?」 うん、と頷けば「そっかぁー!」って。 思わずトノへ振り向けば目が合って首を傾げられてしまった。 「相手が男って…おかしいと、思うか?」 「ヒメが男の人好きなのはビックリしたけど、おかしいとは思わないよ?」 当たり前でしょうという顔で言われて、俺も漸く力が抜けた。 よかった。俺の親友がトノでよかった。 何でもないように受け止めてくれるトノが有り難くて、胸が熱くなる。 「ありがとう」 その一言を伝えるだけで精一杯だった。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!