初めての恋

7/10
前へ
/285ページ
次へ
季節は巡り春は訪れ、新しい生活が始まる。入学式の一週間前に入寮を済ませ、同じ寮の友達もできた。 みんないい人ばかりでこれからの生活に心を踊らせていた。 「部活どーする?またバスケする?」 勿論そのためにこの学校に来たんだから…と言うよりは、先輩の側に居たいからだけど。 ちょうど今週から部活見学が始まっていて、みんなそれぞれに部活動が行われている場所へ向かっていこうと荷物をまとめ始めていた。 「体育館、行こっか」 トノに声をかければ満面の笑みで応えてくれる。 中学時代の部活の話をしながら体育館へと向かった。 ほんの数ヶ月前の話なのに、なんだか凄く懐かしくて。そして同時に思い出すのは先輩と過ごした日々。 先輩と後輩としてだけれど、それでも凄く可愛がってもらえてた。 思い出してつい頬が緩む。 また楽しい日々が始まる。 また一緒にバスケができる。 また側に居れる。 秘めている気持ちが込み上げてくるのを感じながら、気付かれないようにまた仕舞い込んだ。 近付くにつれて聞こえてくる声やバッシュが床を擦るキュッという独特な音。 それだけでまた気持ちが高ぶってきた。
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

404人が本棚に入れています
本棚に追加