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熱気と体育館独特の香りに包まれる。
高校生と中学生、たったの数年しか違わないのに体格もレベルも全然違う。
その雰囲気にのまれ、余計に胸が高鳴った。
ボールが弾む音が大きく感じる。
トノとふたりで体育館の端で食い入るように見学していた。
転がってきたボールを手に取る。
渡そうとしたその人に目を奪われてしまった。
「よっ!久しぶりじゃん、トノヒメー!」
大きな口を横いっぱいに伸ばした満面の笑顔は、中学の頃よりもずっと大人っぽくなっていて。
身長も伸びていて…覚えていた目線の位置よりも見上げなければならなくなっていた。
ますますカッコよくなっていた先輩に心臓が否応なしに暴れだす。
「あぁ!渡辺先輩!!お久しぶりですっ」
「お久しぶりです」
元気かー?なんて、当たり障りのない会話だったけど、嬉しくて、ドキドキして。
「渡辺先輩やっぱりレギュラー??」
「当たり前だろー!」
ニコニコ笑って、トノの髪をわしゃわしゃ撫で回す。中学の頃、自分もよくしてもらってたのを思い出した。
あれって先輩の癖みたいなもんだよなー
嬉しい時はいつも犬を撫で回すみたいにわしゃわしゃされてた。
大きな手が気持ちよくて、温かくて…
「お前らまたバスケするのー?」
「渡辺ーーー!!」
「すまん、またな!」
その問いに答える間もなく呼ばれた人へ顔を向けたと思ったら、そのまま走って行ってしまった。
「先輩おっきくなってたねー!」
「う、ん……」
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