プロローグ

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中学校へ入学して、初めて部活動というものを目の当たりにした。 小学校のクラブ活動とは比べ物にならない真剣さ。 立ち込める熱気に、胸が高ぶったのを覚えている。 体育館で誰よりも走り、一際輝いていたあの人に、気付いた頃には目を奪われ、気付いた時には入部届けを出していた。 トノが言った。カッコイイね!と。 そう。凄まじいくらいにかっこよく見えた。 たった1歳しか違わないのに、別次元の人間かのように、他の人とは全く違うものに見えたんだ。 そんな彼を追いかけるかのように、入部した俺達は彼について回った。 ただ単純に、尊敬していたんだ。 そのプレイに魅了されていたんだ。 だから、ただ近くでその姿を見れていればよかった。 それだけで満足だった。 そう、満足だった筈だったのに。
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