お菓子な恋をしよう

初めての恋

中学も３年を迎え、高校受験に向けて皆が本腰を入れ始めた頃、その流れに乗って俺も志望校を決めた。

｢俺、この学校に行きたい｣

あまり我儘を言わない俺の今までにない要望に、両親は目を丸くしてこれでもかというくらい驚くと、問いただしが始まった。

なぜ私立高校なのか

なぜ県外に行かなければならないのか

私立がいいなら県内ではダメなのか

わざわざレベルを落とす必要があるのか

…………etc

終いにはトノが行きたいと言っているのか、と。

怒涛の質問ラッシュに合い、それを｢行きたいから｣の言葉のみで躱した。

勿論、最後の質問だけはしっかり否定した。

だって、このことはまだトノにも話してはいないのだから。