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「俺県外の高校行こうと思ってるんだ。」
結局それ以上は聞かれなくて、渋々だが許可してもらえたその翌日、トノにも話をした。
出来れば同じ学校に行きたい。
でもこればっかりは俺の我儘を通すことはできないから。
「どこー?俺もそこ行くー!」
そう思っていたのに、間髪入れずに発せられた言葉に心底驚いた。
「私立だよ!?親にちゃんと相談しないと…!」
「ん?だいじょーぶだと思うぞ?俺、ヒメと一緒がいいし」
ニヒヒと笑って笑顔で答えるトノに胸が苦しくなった。
トノは何も聞かない。
俺が話したくないことは言わないのを知っているから。
だから俺が話すまで絶対に聞かない。
でも…
じっと見詰めて心の内側を見てくる。
俺の少しの変化も感じ取るんだ。
「今日…泊まりに行っていい?資料見せてよ」
そしてこんな風に、近くに居てくれる。
俺に何かあった時。
特に辛いこと、悲しいことがあった時。
俺が側に居て欲しいと思う時、いつも側に居てくれた。
一緒に居てあげるとか、慰めてあげるとか、そんなんじゃない。
頭で考えて俺の為にって押し付けてくる優しさなんかじゃなくて…
感じ取って、自分がそうしたいから、と。
俺がして欲しいことをしてくれるんだ。
赤ちゃんの時から一緒にいるからっていうのも勿論あるけれど、きっとトノの本質的な部分なんだと思う。
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