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遠くから見ているだけでよかった。
初めて見た時はそれだけで充分で。それでもドキドキしてて。
側で見ていたくてバスケ部に入部してからは、一緒に部活に励み、ほぼ毎日の放課後を共に過ごした。
一緒にプレイできたことが、ただ嬉しくて。
それだけで毎日が楽しかった。
それだけで毎日頑張れた。
だけど、先輩の優しさに触れ、おもしろさに笑い、かっこよさに胸をときめかせ…
───欲がでてしまったんだ。
先輩が卒業してから、心のどこかにぽっかりと穴が空いてしまったような、そんな自分が不思議だった。
部活で一緒にプレイできて満足してたはずなのに…
卒業したらこの感情とも卒業出来ると思ったのに。
結局、また望んでしまった。
同じ学校で、先輩の側にいたい、と。
『男の人を好きになった』
この時点で俺は思いが通じることは無いと諦めていた。
だってそうだろう?
自分が普通じゃないことくらい、ちゃんとわかっていたから。
だからせめて…
せめて・・・同じ学校で、また後輩としてでもいいから、近くにいたかったんだ。
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