序章 終わり

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 噴出す赤は現実味がなく、吹き飛ぶ頭は大きく目を見開いて雫がぽろぽろと弧を描く。司令塔がなくなった体は数歩走り、やがて歩かなくなったと思うと、地面にうつ伏せで倒れた。乾いた大地というキャンパスに、殴り書きしたように赤い絵の具が、切断された個所から飛び散る。ぶしゃぶしゃと。びちゃびちゃと。美しく、残酷に。  その光景は、やけに目に焼きついた。一生忘れることはない、傷として。  伸ばした右手は、糸の切れた操り人形のようにやがてだらんと力なく落ち、膝もがくんと地に落ちた。  そしてやっと、後悔が体を蝕む。  最初はあまりにも突然だったものだから、これは夢かと思った。けれど、じわじわと浮きでてくる恐怖と喪失感が夢ではないと、笑い嘲るように教えてくれた。
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