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弥王は初めに教室に入ってきた女子を初めてまともに見た。
自分を見上げてくる黄玉石(ドパーズ)の大きな目に、長い茶色の髪は綺麗に巻かれてツインテールにされている。
その頭には、黄色いカチューシャを付けている。
泣いていたらしく、頬が赤くなっているが、それでも割と可愛い女子生徒だ。
「へぇ・・・・・・」
思わず出た、抑揚のない素っ気ない声。
弥王は、違和感を感じていたのだ。
“私、虐められているんですよ”と言う割には、さっきの天使よりも傷が少ない。
しかも、目が虐められている人間のソレではない。
弥王は違和感を感じつつ、あの天使にも話を聞いた方が良いな、と冷静に思っていた。
弥王がそんな事を考えていると、声が掛けられた。
「あ・・・・・・貴方が転入生?」
木吉レーナの問いに、弥王は頷いた。
弥王は直感していた。“コイツはオレが嫌いなタイプだ”と。
普段、人間をそんなに選り好みするようなタイプではない弥王が少しでもそう直感すると言う事は、とんでもない人間に違いない。
それは、今までの経験から解っていることである。
「あたし、木吉レーナっていうの。
貴方は?」
「神南弥王だ」
木吉が自己紹介して、弥王もそれに応える。
幾ら、直感が“あっかーん!!こいつ、マジでダメやねん、よろしゅうしたぁないわぁぁぁぁあああ!!あっか――んん!!”とか叫んでいても、礼儀は忘れていない。
その間には、さっきの天使は何処かに行ってしまった様で、天使は居なくなっていた。
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