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「さっき、捨てられて・・・・・・」
「そっか」と相づちを打って、弥王は「やっぱりか」と思った。
平気で卵を投げてきたりするほどだ、捨ててもおかしくはない。
弥王は弁当箱を鞄から取り出すと、今朝作った弁当を京子に差し出す。
「それ、食べな」
「え・・・・・・でも、神南君は?」
短く言われた言葉に京子は戸惑ったように弥王を見た。
制服を借りて、更に弁当まで貰うなんて悪い、と思った京子は、弁当を弥王に返そうとしたが、それは弥王によって拒絶された。
「オレは朝、買い食いしたから平気だ。
それに、笹川さんの為に作ったんだ、だから・・・・・・食べてくれないか・・・・・・?」
勿論、これは京子に食べさせる為の冗談である。
ツボを狙って、努めて困った様に言ってみると、京子はクスクスと笑い出した。
あ、やっと笑った。弥王もつられて微笑んだ。
「神南君、面白い事言うね、あはは!
じゃあ、貰って良いかな?」
笑った後、弥王が頷いたのを見て、京子は弥王の弁当を食べ始めた。
その様子を見て、弥王は「あ、可愛い、小動物みたいだ」と微笑ましく見ていた。
どうやら弥王は一目惚れしたようだ←
弁当を食べ終わって、一息吐いた時、弥王は口を開いた。
今、クラスで起こっていることを訊こうと思っていたのだ。
「何があったのか、訊いても良いか?
どうもオレは、単純に彼奴らの言葉を信じて良いのか解らない。
笹川さんの話も聞かないといけないと思ってな」
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