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弥王の言葉に京子は目を見開いた。
まさか、自分の話をちゃんと聞いて貰えるとは思わなかったのだ。
ちゃんと聞いて貰えるなら、京子はありのままのことを全て話そうと思った。
京子は徐に口を開くと、ポツリポツリ話し始める。
「去年の今頃、木吉さんが転入してきたの。
その頃はまだ何も無くて、みんなと仲良くしてたんだ。
ツナ君達も仲良くしてくれてた。
でも、数週間して木吉さんに屋上に呼ばれて・・・・・・」
京子は一旦、口を閉じた。
余程、思い出したくもない事なのだろう。それを証明するかのように、京子の目に涙が薄く膜を張っていた。
落ち着くように息を吸って吐くと、京子はポツリポツリと話し始める。
事は、去年の秋頃に遡る。
木吉レーナが転入してきて、そろそろ1ヶ月が過ぎようとしていた時だった。
京子は木吉レーナに屋上に呼び出され、それに応じていた。
屋上に行けば、木吉レーナが京子を睨み付けて、今にも襲ってきそうな勢いでフェンスに凭れ掛かっていた。
そして、京子が近付いてきたのを確認すると、刺々しい口調で口火を切る。
いつも、教室で話している雰囲気とは違う木吉に戸惑う、京子。
「笹川さんってさぁ、男子にちやほやされすぎじゃない?
何かぁ、許せないって言うか。
あたしは日本の木吉グループの令嬢よ?
誰よりも偉いワケ。
なのに、何でアンタみたいな雌豚があたしよりも目立ってんの?立場解ってる?」
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