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朝日が窓から差し込んで、瞼の裏を明るく照らす。
自然的に意識はゆっくりと浮上し、小鳥の囀(さえず)りがはっきりと覚醒し始めた耳に流れ込んでくる。
朝の6時。
彼の目覚めは順調だった。
ゆっくりと瞼が開かれ、そこには、木漏れ日の差す森林のような綺麗な翠の瞳が現れている。
左目は長く綺麗に整えられているバイオレットの前髪に隠れて見えない。
彼はゆっくり起き上がると今まで窮屈に布団に埋もれていた上半身を伸ばして、ベッドから出た。
立ち上がった彼は1メートル70センチはあるだろう、長身のスタイルに太腿くらい長い髪が特徴的と言えばいいだろうか。
目鼻筋が通った顔は紛れもなく、彼が日本人ではないことを物語っており、その目つきの悪い三白眼の目尻には、雫の先を十字に並べた白いタトゥーがある。
彼は、神南弥王(こうなみ みお)。
日本人の名前ではあるが、これは日本に国籍を一応置いている為に名前を日本名にしているのだ。
彼はクローゼットを開けると、白いシャツと黒い学生ズボンとベストを取り出し、着替え始めた。
その様子を不思議そうな顔でじーっと見つめる視線があった。
それに気付いた弥王は、着替え終わった所でしゃがんで、手を差し出す。
「今日から学校なんだよ。
ララァも途中まで一緒に来るか?」
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