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暫く歩いていると、弥王が今日から通うことになっている学校が見えてきた。
塀の上を歩いていたララァは、そのまま塀を伝って曲がった。
弥王は気にすることもなく、そのまま学校の校門の前に歩く。
学校の敷地であるというように続く塀の終わりに近付いていくと、白いシャツに女子は赤いリボン、男子は赤いネクタイを着けてベストを着ている集団が見えた。
その中で違和感のあるリーゼントに学ランの生徒もちらほら居たが、特に気にせずに弥王は校門を抜けた。
校門の塀の端っこには、銅製の板が埋め込まれていて、その板には、“市立並盛中学校”と書かれていた。
校門を通り抜けた後は、職員室へ向かって歩く。
予め、校内の見取り図を貰っていた弥王はその記憶通りに廊下を歩いて、職員室を目指す。
階段を上って、2階の階段の手前に校長室が見えて、その左隣に職員室はあった。
“職員室”と書かれたプレートの下の扉をノックして開けると、「失礼します」と言って、職員室に入った。
職員室に入れば、それ特有のコーヒーの匂いが鼻を掠め、他にも、キーボードを叩く音やコピー機の駆動音などが耳に流れ込んでくる。
「あぁ、君が神南弥王君だね?」
弥王の姿を認めた担任であろう薄幸そうな男性教師が、声を掛けてきた。
それに頷くと、教師は「付いてきて」と出席簿を抱えて職員室から出てきた。
弥王は教師に続いて行く。
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