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教室の前まで来ると、扉の前で待たされた。
何故、待たせるのか不審に思っていると、弥王が訊くよりも早く教師は言った。「サプライズだからね」と。
少し待っていると、教室が騒がしいのが解る。
それを教師が宥めて、やっと呼ばれた。
弥王は扉を思いっきり開けて、教室に入り込んだ。
すると、女子が息を呑んで弥王に視線が集中しているのが解った。
ひそひそと抑えた声が聞こえる。
そんな教室のざわめきよりも、弥王は何とも言えないこの教室の空気に嫌悪感を感じた。
「静かにしろー!
イタリアからの留学生、神南弥王君だ」
その空気をまるで気にしていないかの様に教師は再びざわつき始めた生徒を宥めて、弥王を紹介する。
「神南君の席は窓際の一番後ろだ。
それと、1時間目は担当の先生がインフルで休みだから、今日はLHRな!
丁度、留学生も来たし、自習と言う名の休み時間と言うことで、俺は消える、じゃあなっ!!」
教師が集団でのサボりを認めて良いのかよ・・・・・・と、言うか、この時期にインフルって、絶対仮病だろ。
そんな事を弥王が思っていた時には既に、あの薄幸そうな担任はエスケープしていた。
弥王は思う。「こんな学級で大丈夫か?」と。
放置された弥王は取り敢えず、指定された空いている席に座る。
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