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それに気付いた重力を無視した髪型の男子生徒が慌てて寄ってくる。
皆が口々に彼女を心配して声を掛けている中、弥王は状況が読めずに黙ってそれを見届ける。
彼女は涙ながらに口を開いた。
「あのね・・・・・・あたし、さっきまで笹川さんに・・・・・・呼ばれてぇ・・・・・っ、ぐずっ、屋上、行ってたの・・・・・・っ!
ぐずっ、そしたら、いきなり・・・・・・殴られてぇ・・・・・・っ、「もう二度と、学校に来るな」って、言われたのぉ・・・・・・っ!」
徐に彼女はさっきまでのことを話していた。
その言葉に嗚咽が混じっている所為で、所々が聞き取りづらいが、「笹川さん」と言う人物が彼女を屋上で殴ったらしいと言うことは理解した。
そんな彼女を落ち着かせるように、女子生徒達は彼女の背中を撫でていた。
そんな空気の中、また教室の扉が開く音が聞こえて、生徒が入ってきた。
教室に入ってきたのは、ふわふわしたブロンドの髪の女子生徒だ。
彼女が「笹川さん」という人物なのだろうか。
彼女は傷だらけで、彼女が笹川さんだとしたら、彼女が加害者のようには見えない。
弥王はその彼女に目を向けていた。第一印象、天使。
弥王がその天使をじっと見つめていると、怒声が飛んできた。
「おい、お前!
また、レーナちゃん泣かせたんだってな!!」
「学校に来るべきじゃないのはお前だろ!!」
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