ある逆転の逆転の話

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何にせよ、これにて一件落着だ。 狂化状態も沈静化したし、夕梨が泥酔していた時の記憶を覚えていないというのは、既に前例で確認済み。 俺の変態発言――というか、今のやり取りのことは、目を覚ました時には綺麗サッパリ忘れてくれているだろう。 かなり強引かつ無茶苦茶な手段だったが、あの場ではああする他なかった。 でなければ、今頃俺はバーサーカー夕梨によって肉片に変えられていただろうし、流石に世界滅亡とまではいかずとも、都市一つくらいは壊滅していてもおかしくない危険事態になっていた筈。 「…………」 そうだ。 だから、俺は間違っていない。 俺は正しかった。 最善の選択をしたんだ。 自らの命とこの街を守るため、決死の演技を振る舞った。 尊い自己犠牲だった。 賞賛されるべき所業だった。 渾身のファインプレーだった。 自信を持って、よくやったと自分を褒めることができる。 「…………」 その筈なのに。 あぁ。 どうして。 どうしてだろう。 どうして。 どうして、こんなにも。 涙が止まらないんだろう。 (――"ラビット君、やはり君は最高です。私、君になら抱かれてもいい") 「……すみません、葵さん。今はちょっと一人にして下さい」 空気を読まず、脳内に直接届いたテレパシーに返事をして、俺はしばらくその場に立ちつくしながら涙を流した。 こうして、一人の変態とキラワレールによってもたらされた激動の一日は、様々な暴走を経て、ようやく幕を降ろしたのだった。    
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