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目が覚めると俺は、薄暗い廃屋の中で手足を拘束されていた。
「……なんだこれ」
出オチ感が凄い。
そうか、今回はこういう始まり方か。
別に今に始まったことではないのだけれども、毎度毎度、展開が急なんだよなぁ。
いや、なんて呑気に構えている場合ではない。
状況から察するに、俺は恐らく、何者かに気絶させられて、ここまで運ばれてきたのだろう。そして、このように椅子に座らされた格好で手足を縛られている……と。
廃屋らしき周囲の様子を見る限り、とても人気のあるような場所とも思えない。
拉致+拘束+監禁+人気のない場所。
どう考えても、嫌な予感しかしないラインナップの豪華詰め合わせだ。
「まいったな……」
真っ先に暴走族関係の人間の仕業かと疑ったが、あの類の人々は、こんな回りくどいことをしないと思うからなぁ。
やるならもっとこう、直接的にやってくるだろう。
とすれば、果たしてこれは一体誰の仕業なのか。
「――おぉーっと。お目覚めかい、兎上駆クン」
「良い夢は見れたかなァ? クックック……」
そうこう考えていると、不意に廃屋の扉が開かれ、二人の人影が姿を現した。
二人共、何故か不気味なピエロマスクを装着しており、素顔は見えない。しかし体格や声色からして、両方とも若い男だということは分かった。
「っく、誰だお前等は!何故こんなことをするんだ!」
「おいおい、落ち着けよ兎上駆クン。その質問にご丁寧に答えてたら、せっかくお前をこんなところまで連れて来た意味が無くなっちまうだろ?」
そう言って、男達は再び笑い出す。
……なんだ?
このピエロマスク達の風貌を見る限り、まさか俺は今から、最近よくあるデスゲーム的な何かでもやらされてしまうのか?
「大変だったんだぜェ? ぐっすり眠ってるお前をここまで運んでくるのは」
「ま、まさかお前達、俺に一服盛って……」
「くっくっく。そのまさかさ――」
マズイぞ。
睡眠薬まで使用してくるなんて、いよいよ普通の奴等じゃない。
俺は一体、どうなってしまうんだ……。
「――まさか、リラックスアロマ入りの高級カモミールティーを飲んだだけで、あんなにぐっすり寝てくれるなんてなァ」
「ずいぶんと日頃の疲労が溜まってるんじゃねェのかァ? あァん?」
いや、大丈夫っぽいなコレ。
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