ある合コンの話

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まぁ、確かに。 改めて冷静になってみると『脱兎』が全く反応していない。 ということはつまり、少なくとも現時点において、コイツ等には、俺を殺す気はないということだ。 ならば、過度な危機感は持つだけ無駄だろう。 「というか、そもそも拘束自体あまいもんな。人を本気で監禁したければ、ロープは駄目だぞ。暴れた拍子に切れる可能性があるから、多少入手が困難でも鎖か手錠を使わないと。あと、目隠しと猿轡といった必須アイテムを用意してなかったのもマイナス点だ。次からは気を付けるといい」 「なんで俺達、縛られてる奴に駄目出しされてるんだ?」 「んで? 結局のところ俺はこれからどうなるんだ? アンタ達にも事情があるだろうから言えないことは多いと思うけど、とりあえず、それくらいは説明してもらわないと。話はそれからだろ?」 「なんで急にそんな冷静になるんだよ、怖いよ」 「時間も惜しいから、お互いのためにも手早く済ませようぜ」 「だからなんでお前が主導権握ってるんだよ」 ピエロマスク達が若干引いていた。 うるせぇ、経験値が違うんだよ経験値が。こういう時は、勢いに身を任せた方がスムーズなんだよ。 「ま、まぁ、話が早いのは俺達にとっても良いことだ。いいだろう、教えてやるぜ、兎上駆」 コホンと咳払いをして、ピエロマスクが仕切り直す。 「だがその前に、ちょっとこのピエロマスク脱ぐわ」 そして、まさかの一言。 脱ぐのか。 ていうか、脱いでいいのか。 なんのためのマスクだったんだ、それ。 「いや、正直雰囲気作りのために使ってみたのはいいんだけど、蒸れるし暑いし視界狭いし声聞き取り辛いしで、正直ウザい」 「分かる。僕も丁度言おうと思ってた。やっぱその場のノリで買っちゃダメだな、こういうの」 「そういうお前がドンキでワゴンセールから発掘してきたんだけどな、鬼瓦」 「お前こそ、最初はテンション上がるわーとか言ってノリノリで被ってたじゃないか、神崎」 「うっせ、バーカ。つーか、マスク分の代金、俺が建て替えたのに、まだ返してもらってないぞ。早く返せよ」 「あのあとマック奢ってやっただろ。アレでチャラだ」 「チキンクリスプ一個じゃ割に合わねーよ。せめてビックマック奢れよ」 ああ、駄目だ。 もう既にグダグダだ。
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