陽だまり ~エピローグ~

3/5
719人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
「うん。だって,  中学校の時から,  よく一緒に帰ってたよ」 由宇は,その女性を ギュッと抱きしめた後 手を振ってこちらへ 戻ってきた。 「由宇ちゃんったら,  そんなに大事な人がいたなら  紹介してくれたらいいのに」 「え…ああ…だって,  ひーちゃん,よく  知ってるだろ…あいつ」 「え?」 由宇が手招きすると, さっきの女性が近くに来た。 「わあ,お久しぶりです。  陽和先生」 「え?」 陽和は一瞬目を丸くした。 保育園に通っていた子…? 「さすがに,わからない  ですかねえ…  私…木本麗美といいます」 「…ええっ!?  もしかして,あなた  たんぽぽ組だった  麗美ちゃん?」 「そうです!  あのとき,由宇さんに  助けてもらって」 それは,由宇がブランコに ぶつかりながら助けた 麗美ちゃんだった。 「まあ!麗美ちゃん!  すごい!  大きくなって…」 そういう陽和に 由宇は苦笑いだった。 麗美は,頭を下げて, 由宇に手を振り,その場を去った。 「そうなんだあ…まあ…  由宇ちゃんも初恋の人と?  やっぱり血は争えないわね。  朔ちゃん」 そう言って笑う陽和に 朔は苦笑いだった。 「いや,俺の初恋は  残念ながら  麗美じゃないよ。  麗美とは中学の時から  付き合ってるけど…」 そういうと,由宇は 陽和の耳元でこっそりつぶやく。 「俺の初恋は…  ひーちゃんだから。  もっとも俺が好きになった時には  ひーちゃんは,朔ちゃんに  夢中だったから  すぐにあきらめたけどな」 「ええっ!?」 陽和が大声を上げたので 朔が驚いて振り向く。 「どうしたんだ?」 「いや…何でもない…」 陽和はニコッと笑った。 「さて,じゃあ,そろそろ  行くな。  まあ,すぐ帰るけど…  ひーちゃん,あんまり  心配しないで」
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!