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「陽和…。
これまで…
ホントにありがとう」
「朔ちゃん?」
「俺と出会ってくれてありがとう。
子どものころさ,
陽和がいるから,毎日が
楽しかった。ありがとう。
それに…あのころ
傷つけてしまったこと…
ホントに…悪かった…」
陽和は首を横に振る。
陽和の頬は涙で濡れていた。
「そして…
大人になってから…
また…出会ってくれて
ありがとう。
俺の…彼女になってくれて
ありがとう。
由宇のことも…
大切にしてくれてありがとう」
陽和は涙ぐみながら
朔の言葉を聞き続ける。
「俺のこと…
好きになってくれて
ありがとう」
そういう朔の声も…
涙声になっていた。
「うーん…やっぱ俺…
陽和の顔見てたら
泣いちゃう…かもしれない」
「え…?」
「ここに来て…」
朔は,初めての夜と
同じように陽和を
自分の足の間に挟んで
後ろから抱きしめた。
「初めての夜と
同じだ…」
朔はクスクスと笑った。
「陽和,あのとき,
緊張してたな」
「朔ちゃんだって…」
「ああ…してた…
ものすごく…」
朔はまたクスッと笑った。
「でも…今の方が
もっと緊張してる」
「え…?」
「陽和…大好きだ」
「朔ちゃん…」
「陽和…
…もう俺の彼女…
卒業してくれないか?」
「え…?」
陽和は意味が分からずに
頭を混乱させる…。
だけど,朔はすぐに
言葉をつないだ。
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