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思う存分撫でてもらって気が済んだのか、
白猫はにゃあと一声鳴いて車の下へ潜っていってしまった。
「じゃあ、そろそろ行くか」
「うーん、俺一回家帰る。用事が済んだら夕方また行くわ」
「夕飯は?」
「浅川の家で作るよ。なに食べたい?」
嶋野と別れて、朝の水色の空を見上げながら、駅の反対側の我が家まで1人で帰る。
パーカーのポケットに手をつっこんで、頭の中で鳴るリズムに歩く速度を合わせて、
日曜の早朝の人気のない道を1人で歩いて帰る。
でももう、いつもの1人とははっきりと違うのだ。
この日々がいつまで続くかはわからないけど、
当分はそれを当たり前だと思って続けていきたい。
コーヒーが冷めてしまったら、また温かいものを淹れ直せばいい。
そうやって2人で乗り越えていければいい。
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