#06

4/17

192人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
会社帰りに浅川の家へ寄ると、なんで来たのとでも言うような表情で俺の顔を見る。 ずっと寝ていたのだろう、髪が寝癖でぐちゃぐちゃで、毛並みの悪い野良猫みたいだ。 「予防接種したから、インフルエンザじゃないとは思うけど」 「なんか病人の顔してるな。熱、まだあんの?」 「7度台まで一応さがった。薬飲んで寝てたらだいぶ良くなった……」 「ちゃんと食べてる?」 「3時くらいに1回起きて、薬飲む為にカップのうどん食べた」 「風邪だっていうからきたのに、おまえ結構元気でつまんねえな」 「……俺に何の期待をしてたんだ。一人暮らし長いからさ。 いつ具合悪くなってもいいように、粉末ポカリとカップ麺と薬は常備してるし」 かすれた声で、いつものように軽口を叩く。 「おじや作ってやるから、ちょっと横になっとけ」
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加