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会社帰りに浅川の家へ寄ると、なんで来たのとでも言うような表情で俺の顔を見る。
ずっと寝ていたのだろう、髪が寝癖でぐちゃぐちゃで、毛並みの悪い野良猫みたいだ。
「予防接種したから、インフルエンザじゃないとは思うけど」
「なんか病人の顔してるな。熱、まだあんの?」
「7度台まで一応さがった。薬飲んで寝てたらだいぶ良くなった……」
「ちゃんと食べてる?」
「3時くらいに1回起きて、薬飲む為にカップのうどん食べた」
「風邪だっていうからきたのに、おまえ結構元気でつまんねえな」
「……俺に何の期待をしてたんだ。一人暮らし長いからさ。
いつ具合悪くなってもいいように、粉末ポカリとカップ麺と薬は常備してるし」
かすれた声で、いつものように軽口を叩く。
「おじや作ってやるから、ちょっと横になっとけ」
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