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病気になったっていうから、もう少し気弱なとこが見れるかと思ったのに。
つまらないな。
冷凍庫のご飯を解凍して、
余ってたにんじんとネギと卵でおじやを作って部屋へ持って行くと、
ベッドに寝転がってうつらうつらとしながらテレビを観ていた。
寝癖まみれの髪をわしゃわしゃと撫でると、目を逸らして口を尖らせる。
髪に触れるといつもそうやって、拗ねるような仕草をして、俺の手をはねのける。
でもしばらくすると少しだけ撫でさせてくれるのをかわいいと思って、
ついついやってしまう。
「生姜湯買ってきたけど飲む?」
「……飲む。氷もちょっと入れて」
こうやって胃が充たされると少しだけ甘えたようなことも言う。
まあ、簡単に懐かないのがいいんだけどね。
近づいたと思ったら、また避けられたり。嫌われたと思ったら、甘えられたり。
そういう距離感、嫌いじゃないよ。
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