#06

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「あー、ごめんごめん。気にしないで。俺も大人げなかった」 嶋野さんならいいんですよー、と女子社員たちは笑ったが、俺はなんだか。 なんだか、自分の悪口を言われたような気がしてた。 「まあ、あれはあれで、意外と気遣いだよ。 こっそりホチキスの針だのコピー用紙だの備品を補充してくれる、心の優しい妖怪程度に思っとけば」 笑っていつも通り振る舞って何事もなかったように仕事に戻る。 いつも通り振る舞っているフリをしているのが、自分でもよくわかって、胸が詰まる。 随分と似合わないことをしてしまった。 なんか、なんていうかさ。 見返りとかそういうの全然考えなくて、庇ったり褒めたり喜ばせたりしたい。 そういう風に思える相手って、俺にしては珍しいな。 思ってる以上に浅川のこと考えてるというか。思ってるより余裕がないというか。 これはあれだ、例の治らない病気だ。
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