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ドアを開けると浅川は明らかにさっきまで寝てました、という顔をしていた。
「寝てた?」
「寝てた。一日中寝てたからだるくて。風邪薬で寝るとだめだわ。気持ち悪い……」
「普段の休みの日も一日中寝てるくせに」
眠たそうにしている姿は凄く無防備で、いつものつんけんしている様子が嘘のようだ。
飼われてる猫が人見知りしないで寄って来るような、あんな感じ。
中華スープの素と蒸し鶏と椎茸で中華風粥を作って部屋へ戻ると、
浅川はベッドで寝息を立てていた。
こいつは本当、寝てる時が一番幸せそうだな。
俺が今日会社で何やらかしたかなんて、こいつは全く知るところではないんだろう。
知られても構わないけど、気恥ずかしいので知らないままでいて欲しい。
本当の気持ちはどっか少しぐらい秘密にしておきたい。
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