192人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
その晩、宣言通りに嶋野はやって来た。
会社を出る前も出た後も何の言葉もメールも交わさなかったから、油断してた。
駅前の弁当屋で買った夕飯を食べて、
風呂から出てくつろいでるところにチャイムが鳴った。
この時間差攻撃は、一緒に帰るところを会社の誰かに見られたくなかったのだろうか、
などとひねくれた想像を巡らせてしまう。
「お茶飲みます? コーヒーか紅茶か」
「おお、ありがと。どっちでもいいよ、おかまいなくー」
「じゃあコーヒーで」
「濃いめミルク多めで砂糖なしな」
なんかこう、いちいち一言余計というかなんというか。
誰に対してもこうなのか、俺だけにこう横柄なのか。
「コーヒーミルクないから、牛乳でいいですか」
「いいよ。俺カフェオレ大好き」
最初のコメントを投稿しよう!