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会社から帰ると、玄関の前でスーパーの袋を抱えた嶋野が待っていた。
なんか嫌な予感が。
「おまえの夕飯、カップラーメンなの? うわー」
俺の手にあったコンビニの袋を覗いてそう言った。
「俺の食生活はほっといて下さい……」
「こないだの漫画のお礼にさ、夕食作るよ」
「はあ? これから作る気ですか? うちの台所で?」
「いいじゃん、今日金曜だし。とにかく座ってTVでも観てて。それか風呂にでも入ってきなよ」
誰かと食事をするのはあまり好きでなくて、いつも居心地悪くて。
1人でなら好きなものを好きなペースで食べれるからって思って。
見慣れたいつもの1DK6畳間の、
いつものローテーブルに用意される、2人分の食器。
いつもと同じTVが点いてるのに。なんでかな、なんか変だ。
非日常の違和感じゃなくて、もっと違うものが、
のどの奥のもっと下の方に詰まってる。
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