#02

4/18

192人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
「いいか、好きな時に好きなもんが食えるのは、1人暮らしの醍醐味だ!」 今日も我が家の台所で嶋野は2人分の夕食を作る。 今日のメニューは酢豚と冷や奴。 「大学ん時、バイトでずっと厨房やってたからさ、こういうの好きなんだよね」 「自分ちでやれよ、自分ちで」 「でも実家ってさあ、自分の思うように出来ないじゃん? 特に母親は俺は男だから何も出来ないと思ってるし、何もさせないし」 「……母親は自分のテリトリーが奪われるのが嫌なんじゃないの。特に台所なんて」 「もしかして、俺が勝手に台所使うの、本当は嫌なん?」 「ん? 別にそうは思ってないよ、俺は。面倒なことは出来るヤツがやればいい主義だから」 「あー、浅川ってそうだよね。仕事にもそういうとこ出てる」 作るのは嶋野だけど、後片付けするのは俺の担当。 食後は2人でベッドや床でごろごろしながらDVDを観るのが、いつものパターン。 翌日が休みの時は泊まることも多いけど、 嶋野の自宅までは徒歩15分の距離なので、平日はいつも帰る。 たぶんこれくらいの距離がちょうどいい。 適度に1人の時間を保てないと、俺は頭がおかしくなる気がする。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加