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大学時代から一人暮らしをしてきたから、掃除や洗濯はそれなりに出来るけど、
台所に関しては嶋野にすっかりまかせきりだ。
「今の家電は優秀だから、炊飯器も洗濯機もセットしてボタン押すだけでいいけどさ。
それと比べると料理はかなり面倒な作業だと思って。やれば出来るのかもしれないけど……」
「料理は作業じゃないよ! 作業だと思ってるから、浅川はいつまで経っても料理が出来るようになれないのだ!」
「……のだ、って……。別に、出来るようになれなくてもいいし」
「せっかく2口コンロがあるのに、勿体ない」
「……どうせ嶋野が作ってくれるし」
「浅川にしては随分可愛げのあることを」
たまには、たまにはね。
豚の角煮とチャーハン。今日はコーヒーではなくてジャスミンティーを用意してみた。
「浅川って、食い方きれいだよね」
「そう?」
嶋野はいつも何か楽しいことを求めるような目で人の顔をじっと見るから、
なんだか臆してしまう。
面白いことなんか何も言えないし、ふざけるのも苦手だし。
きっと嶋野が求めるものには何一つとして応えられないと思う。
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