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同じチームの人間が退社したので、最近忙しくて残業する日も増えた。
そのおかげで、もう何日も嶋野が家に来てない。
慌ただしい方が余計なことを考えなくて済むからいい。
でも今日はよりによって、嶋野と2人きりで残業になってしまった。
なんだか気まずい。気まずいのは、たぶん俺だけなんだろうけど。
「俺たちだけになったから、ここ一角以外の電気消そうぜ」
「はあ、そうっすね」
「浅川……おまえその『はあ、そうっすね』って言うのやめた方がいいぞ。その物真似が影で流行ってんぞ」
「え!?」
薄暗いフロアにキーボードを叩く音だけが響く。
こういう時に間を埋める為の会話が出来ない。
まあ、相手は嶋野だから、
俺がそういうの苦手だってわかってくれてるだろうからいいけど。
「終わったー。浅川、まだやってくの?」
「……あ、はい。キリのいいとこまで」
「どうせ残業代出ないんだし、ほどほどにしとけよー」
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