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後片付けをしながらふと、子供の頃のことを思い出した。
フルーチェやジュースをゼラチンで固めただけのゼリーを、
姉や妹と一緒に作った記憶がある。
それを料理と呼ぶに値するかどうかは別として、
実家を出る前に作ったことのある食事といえばそれくらいなものだ。
姉や妹は台所に立って何か料理をしていたかもしれないが、
その辺の記憶が非常に曖昧で、
作ってもらったものはバレンタインのチョコくらいしか思い出せない。
家庭科で習ったことくらいならぼんやりと再現出来るのだが、それ以上は出来ない。
今の時代はレシピなんぞネットに溢れているのだけれど、なかなか腰が上がらない。
たまにやってみても自分の料理に才能を感じられない。
なんというか、テスト前にそれなりに努力して勉強するけれど、
どうにも好きになれない教科のようなものだ。
そんなんだから料理をしなくても生きていけるからと、
どんどんと遠ざかってしまった。
嶋野みたいに出来るようになりたいわけじゃないのだけれど、
目の前に出来る奴がいるとやはり多少は気にしてしまう。
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