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「嶋野くんがさっきから浅川くんの頭をこう、ぐりぐりと。髪の毛凄いことになってるわよ」
そう向かいの席の高坂さんに指摘されて頭を触ると、たしかに髪の毛がぐしゃぐしゃになっていた。
穴があったら入りたい……。嶋野を見ると、嶋野もそういう顔をしていた。
そうされることにあまりにも馴れすぎていて、気がつかなかった。
「……怒ってる?」
「怒ってませんけど」
おそるおそる尋ねる嶋野にそう返すと周囲から、
浅川さん絶対怒ってるよ、とくすくすと笑い声が聞こえた。
怒ってない、けど。
こんなつまらないことを軽く笑って流せない自分の社会性のなさよりも、
嶋野に触れられることをあまりに自然に受け入れている自分に動揺している。
しかも人前で……。
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