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デザートにコーヒーゼリーも作った。
箱に書いてある分量の目安がいまいち掴めず、思ったより大量に出来てしまった上に、
ゼリー型がなかったからお椀で作ったので、一人分が結構な量になった。
それをまた嶋野は、いかにも料理初心者らしくて可愛げがあると言った。
「こういう可愛げのあるとこ普段から見せればいいのになー」
「別に……その必要性は感じてない」
ははっと笑って、俺になら見せてもいいんだ? とにやにや笑う。
「あー、でもおまえってさ、俺には隣の席だからやらないけど、会社で人に話しかける時にさあ……」
嶋野はそこまで言いかけて、まあいいや、と止めた。
「……なに? 会社で、なに?」
大したことじゃないから気にすんな、と。
「凄く好きなものって他人には秘密にしておきたいもんじゃん?」
そんなものなのだろうか。
真っ黒なゼリーの上に生クリームをかけて、スプーンで潰して混ぜる。
苦さと甘さが混ざって溶け合って、ゆっくりとお互いの色に染まっていく。
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