#04

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そうだこれ、と嶋野は紙袋の中から薄いボール紙で出来た箱を2つ取り出した。 開けるとそれぞれ中には色違いのマグカップが入っている。 「この部屋、俺専用のカップないからさ。いつまでも来客用のカップ使うのもなんか……つかさ、俺もう客じゃないだろ」 「ないね。お客様って態度じゃない。もう1こは?」 「……空気読めよ。黄緑と水色、どっちがいい?」 「……黄緑、かな」 「あと、布団も注文したから。その内届くから」 「俺、時々お前のことを殴りたくなる時あるよ……」 部屋の中に嶋野のものが増えていく。 まるでここは俺の場所だとナワバリをはるかのように。 たぶん嶋野がいない時でも、マグカップを見れば嶋野のことを感じられるだろう。 新しい感情が、自分の中にどんどん増えていく。 新しい色が胸の内を染めて、その内全てが変わっていくのかもしれない。 でもそれはきっと悪いことじゃなくて、なんだかわくわくするようなことだ。
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