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会社では仕事以外の必要のない会話は特にしないし、休憩時間も別々に過ごしてる。
俺の右隣の席にいるこの男との関係は、会社では何も変わらないけど。
見えないところで確実に何かが変わっているのは凄く不思議だ。
俺が気付いてなかっただけで、至る所でこういう変化があるんだろうな。
「高坂さん、コピー機のトナー出したいんで物品倉庫の鍵ください」
向かい側の高坂さんの席まで行って、そう話しかけると、
俺の顔を見て一瞬きょとんとして。
コピー用紙とか色々出したいから私も行く、と椅子から立ち上がった。
「浅川くんって、仕事中に人に話しかける時、いつもしゃがむよねえ? あれ、びっくりするよー」
物品倉庫でコピー用紙の束やらホチキスの針の箱やらを俺の腕に積みながら、高坂さんが笑って言った。
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