#05

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互いの体温を移すように触れられている間、TVの音を消して耳をそばだてている。 それは漏れる吐息や肌を吸う音を聴くということだけでなく、 柔らかい時間に何か悪いものが飛び込んできやしないかと注意するという意味で、 野良猫のようにじっと耳をそばだてている。 路地裏で誰にも見つからないようにひっそりと暮らす野良猫のような気持ちで生きている。 この人になら飼われてもいい、という優しい人が現れたら、大人しくついていくのか。それとも暮らしは厳しくても気ままな野良を選ぶのか。 ふたつにひとつだけ、なんて残酷だと思ってしまう。
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