#05

6/15

192人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
食後の甘くないカフェオレを飲み終わって、 だらだらとベッドの上で重なったり離れたりしながら映画を観る。 ひざの上で猫みたいに扱われたり、服の下を弄られたり、 気まぐれに手を払いのけたりの繰り返し。 「そういや前に、俺のこと近所の猫に似てるって言ったじゃん。あの猫、見せてよ」 俺がそう言うと嶋野は、見せてよって俺のものじゃないのに、と。 俺もおまえのものじゃないけどな。それは心の中で思うだけ。 他の誰かに自分のことを全て好きになられてもいいと思えるほど、 無防備にはまだなれないけど。 少しだけなら差し出せるようになりたいとは思ってる。 上手く出来ないだけで。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加