#05

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「そりゃあ、口は悪いし素直じゃないし愛嬌もないけど。でも本当のことしか言わないから。 おまえが言うことなら全部信じられるから」 いつも俺はひねくれたことしか言えないのに、 何でそれを本当のことだって言えるんだろう。 何でそんな風に思ってくれるんだろう。 「俺、ずるくて嫌なやつだろ?」 いつものように笑って言うけど、いつもとは違う。 こんな風に自分の話をする嶋野は、初めてだ。 俺はずっと嶋野のことを、勘違いしてた。 「……子供の頃の自分が他人に優しくしてもらいたかったかどうかは、今となってはわかんないけどさ。 おまえにとっては悪口だけど、そいつにとってはそれが他人とのコミュニケーションの取り方だったんじゃねえの。 結果としてお互い嫌な思いをすることになったけど、たぶん悪気があって言ったんじゃないと思うよ」 「そう言ってくれると嬉しいよ」
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