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「そりゃあ、口は悪いし素直じゃないし愛嬌もないけど。でも本当のことしか言わないから。
おまえが言うことなら全部信じられるから」
いつも俺はひねくれたことしか言えないのに、
何でそれを本当のことだって言えるんだろう。
何でそんな風に思ってくれるんだろう。
「俺、ずるくて嫌なやつだろ?」
いつものように笑って言うけど、いつもとは違う。
こんな風に自分の話をする嶋野は、初めてだ。
俺はずっと嶋野のことを、勘違いしてた。
「……子供の頃の自分が他人に優しくしてもらいたかったかどうかは、今となってはわかんないけどさ。
おまえにとっては悪口だけど、そいつにとってはそれが他人とのコミュニケーションの取り方だったんじゃねえの。
結果としてお互い嫌な思いをすることになったけど、たぶん悪気があって言ったんじゃないと思うよ」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
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