第1章

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ひばりは男で、 麻斗も男だ。 だから、 恋人同士になれるなんて思っていなかった。 ただ、 彼が友人としてひばりに優しく接してくれる度に、 どんどん気持ちは膨れ上がり、 勘違いしていたのだ。 彼も自分と同じく、 ひばりのことを、 好きなのではないかと。 一緒に遊んで、 一緒に笑い合って、 少しずつでもひばりのことを好きになってくれたかもしれないと。 そんな勘違いを打ち壊すかのように現れた、 可愛らしくて麻斗にお似合いの彼女。 彼女の存在が、 ひばりは憎らしかった。 麻斗と、 彼女のことを考えると、 夜も眠れない日が続いた。 早く忘れなくては、 彼女ができることは当たり前のことだと、 何度も自分に言い聞かせた。 麻斗とひばりは仲が良いが先輩後輩、 先輩に彼女ができたのは喜ばしいことだと、 早く笑って応援してあげられるようになろうと、 必死で過ごしてきた。
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