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しかし、
ひばりは立ち上がるにも立ち上がれない理由があった。
右肩にかかっている人の重みに、
僅かに身じろぐ。
それに合わせるように、
右隣から微かなうめき声が。
その声にびくりと身体が跳ね、
ひばりの手にしたグラスの中の液体が大きく揺れた。
ひばりは、
ちらりと右隣りで項垂れている男、
麻斗を見た。
少し長めの茶色い髪が、
顔を覆うようにしているので、
彼の表情は見えない。
男の中では小柄なひばりとは違い、
麻斗は羨ましいぐらいに身長が高く男らしい。
そんな麻斗が、
ぐったりとした様子でソファーに項垂れている姿は、
まるで大きな犬がご主人様に見捨てられたように見えて、
見るに堪えない。
その原因は明らかに過度の飲酒が原因で、
今の彼は意識も半分、
夢の世界に半身を浸しているような状況だった。
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