第1章

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あれは冬の寒さも大分和らぎ、 春の風が吹き始めた頃のこと。 入学したての大学のキャンパスは広く、 サークルを見て回ろうとしていたひばりは道に迷ってしまった。 人づきあいが苦手なこともあり、 入学して二日目だったひばりには親しい友達もまだいなかった。 一人で校内を見て回ろうとしたのが運のつき、 誰にも頼ることができず、 かといってそこら辺を歩く人に道を聞く勇気もなかった。 戻るにも今自分がどこにいるのかも解らず、 地図を探そうにも校内にそんなものは点々とあるわけもなく、 いよいよどうしたものかと途方に暮れていた時。
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