第1章

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だから、 こうして出会えただけでも十分だった。 今日一日、 幸せだったなと思い返せるぐらいの出来事だったのだ。 それなのに。 道を教えてくれるだけではなく、 案内までしてくれるという麻斗に、 ひばりはどう反応していいものか悩んでしまった。 『何、 お前、 俺のことが信用できないわけ?』 不機嫌そうに眉を寄せる麻斗に、 ひばりは慌てて両手を前に突きだし左右に振った。 彼を不快にさせようと思ったわけではない。 『いえ、 そんなことないですっ!でも、 迷惑じゃないですか?』 『迷惑なら、 最初から言いだしたりしないっつーの』 『あ、 それもそうですね』
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